​ムクナ豆（Mucuna pruriens）は、熱帯地域を中心に自生し、また栽培されているマメ科の植物です。この豆は、古くからインドのアーユルヴェーダ医学やアフリカの伝統医療で用いられ、その健康効果が広く知られています。特に注目されるのは、ムクナ豆が豊富に含む L-ドーパ（L-dopa） という成分です。L-ドーパは体内で神経伝達物質ドーパミンに変換され、脳の働きをサポートします。この特性から、パーキンソン病の治療や予防の分野で重要視されています。ムクナ豆は世界各地で古くから利用されており、日本では「八升豆（はっしょうまめ）」という名前でも知られています。この名前は、1つの豆から8升もの収穫が期待できるほど生育が旺盛であることに由来しています。江戸時代初期の書物にも記載があることから、日本にはその頃に伝来したと考えられています。しかし、調理に手間がかかるなどの理由で一時期は利用が減少しました。近年では、ムクナ豆に含まれるL-ドーパが注目され、健康志向の高まりとともに「スーパーフード」として再び脚光を浴びています。